Pom Poko〜平成狸合戦ぽんぽこ〜

 

[DVD/字幕版/批評/その他/香港/韓国]

英語版DVD

2005年8月16日に北米でDVD発売予定。

2枚組
英語音声、日本語音声(ドルビーデジタル2.0サラウンド)、英語字幕
29.99ドル
特典映像:予告編、絵コンテ

キャスト(役名不明)

Jonathan Taylor Thomas (TVシリーズ、「ホームインプルーブメント」)
Clancy Brown (映画「スポンジボブ」)
J.K. Simmons (「スパイダーマン」、TVシリーズ「ロー&オーダー」)
Tress MacNeille (「キングダムハーツ」などの吹き替え)
Olivia D'Abo (「ターザンとジェーン」)
Maurice LaMarche (「インスペクターガジェット」)

2004年4月23−24日にLAで開催された高畑映画の上映会及びシンポジウム(高畑監督とジブリのスティーブン・アルパート氏も参加)において、「ぽんぽこ」のDVDが「となりの山田君」、「おもひでぽろぽろ」とともに発売されることが発表されました。

MPAAより「暴力、怖い映像、テーマ的要素」のためPG(保護者のガイダンスを推奨)のレート指定を受けています。

字幕版
  • 字幕版

    「ぽんぽこ」は1995年の米国アカデミー賞外国語映画部門に日本代表としてエントリーされました。その際、英語字幕版が作られ、ロスアンゼルスでアカデミー審査のための上映会が開かれました。(各地の映画祭でも上映されたようですが、詳細は不明です。)また、1995年2月2日には、阪神大震災の被災者支援のためのチャリティー上映会がロスで開かれています。英語タイトルはPom Pokoです。

    この英語字幕版は日本で発売されている「ぽんぽこ」のDVDに収録されています。

  • アライグマ?

    「ぽんぽこ」に関する米国での批評や新聞記事では、タヌキがRaccoon、つまりアライグマと訳される事が多くありました。タヌキは英語でRaccoon Dogですので、近いといえば近いのですが、やっぱり何か違う気がします。また、Badger(アナグマ)とした記事もありました。

批評等

受賞

フランスのアヌシー国際アニメーションフェスティバルで長編映画賞を受賞しています。アヌシーは大変権威のある賞です。

批評

米国の業界紙バラエティ に「この映画はウイットに富み、豊かで大胆な色使いと速いテンポが支配する美しい作品となっている」と、好意的な批評が出ています。ただ、日本の伝統音楽と、2時間近い上映時間のため、アメリカ的なアニメーション映画(つまりディズニー)に慣れた観客には向かないかもしれない、とも言っています。モスクワニュース 紙の批評はかなり手厳しいものでしたが、この記者は「ディズニー映画のようでない」「大人向け」アニメーション映画にかなり反感があるようで、ぽんぽこはその代表としてやり玉に挙げられています。

「政治的に正しくない」ぽんぽこ

米国のアニメファンの間では、ぽんぽこの米国一般公開は大変難しいだろうと言われてきました。日本の民話や伝統文化に深く根差した作品であるから、というのも理由の一つですが(狸がなぜ変身するのか、という所から始めなければなりませんので)、最大の問題は何を隠そう「隠してない事」です。つまり、「風もないのにぶーらぶら」している狸のアレです。

米国は基本的にピューリタンのお国柄で、こういう事に大変厳しく、日本やヨーロッパでは全然OKな表現、たとえば女性の胸がチラリ、とかも地上波のTVでは駄目だったりします。(子供の目に触れないようになっていれば、えげつないヌードもOKなんですが。)特に子供に見せるものには性的な表現は一切含まれるべきではない、と考える親が多いようです。(タヌキのアレには実は性的な意味はない、とここで言っても始まりません。米国人にとって、こういうものは無条件に性的な表現であり、子供はそういった害毒から遠ざけられるべきなのです。そして残念なことに、「アニメーションは子供向け」という固定観念がまだまだ根強いのです)

映画評論家で宮崎アニメの大ファンでもあるロジャー・エバートは、「睾丸を巨大化して敵を押しつぶすというタヌキ達の秘密兵器が理由で、この映画はアメリカ市場では売れないだろう」と書いています。彼のコラムは全米のさまざまな新聞に掲載されるため、「タヌキが睾丸を巨大化して敵を押しつぶす漫画映画だって!?」と、一部の関心を呼んでしまいました。オーランド・センティネル紙の1995年6月30日付のコラムは:

もしそんなマンガ(ぽんぽこ)がこの国で公開されるようになったら、大部分の親は憤慨するだろうね。子供たちに性器を見せる事は心理的トラウマとか何とかを与える、なんて言うグループも多いだろうし、趣味が悪い、と言ってこの映画に反対する人もいるだろう。でも、アジアの子供たちはこのようなものをいつも見ているし、日本人が変態や性犯罪者を育てているようには思えないけどなあ。質問: もしあなたが親だったら、子供にこの映画を見せるかい?こういうものは子供にとって良くないと思う?

と(皮肉まじりで)書いています。これに対し、かなりの反響があったようで、1995年7月7日付のコラムでは「ショックを受け、怒りに燃えた多くの親から電話があった」としています。そうした反応の中には:

  • 自分の子供にはそんな映画は見せないわ。ぞっとする!私も見ないわ。私は16歳よ!
  • 子供をこの映画には連れて行かないわ。小さい子供はこのような事に曝されるべきではないと思うの。それに(子供からの)恥ずかしい質問にも答えたくないしね。
  • この映画はパワーレンジャー(日本の東映戦隊シリーズを編集した番組)とたいして変わらないように思える。そして、たとえ子供が活動過多のニンジャタイプの精神異常者になろうとも、親はそういったものを子供に見せている。ハリウッドはこういった映画で子供たちの精神を破壊している。このアナグマの映画も同じだ。

というものもありました。ただ、このコラムは正確さや公平さよりも面白さを重視しているように思われるので、おそらくわざとセンセーショナルなコメントを選んでいるのでしょう。もっと冷静な反応をした親もいたと思います。(そういう人はえてして新聞社に電話や投書などしないものですが)

もちろん、このコメントを寄せた人達は(そしておそらくこのコラムニストも)「ぽんぽこ」を見たことは一度もありません。「タヌキの秘密兵器」のインパクトがありすぎて、それだけでこの映画が「ぞっとする」なんて切り捨てられてしまうのは大変残念です。実際に見てもらえば、また違う感想も出るとは思いますが、そのためにはまず映画のチケットやビデオを買ってもらわなければなりません。そして現在の米国ではそれは大変難しいのではないかと思います。

まあ、日本人にとってタヌキと大きな「玉」は関連が深いので、映画に出てきた表現も割とすんなり受け入れられるのですが、そういった予備知識のない米国人には、なぜあれが巨大化するのかがぜんぜんわからないのではないでしょうか。であれば、「不必要な性的表現」とあれを受け取ってしまうのも仕方がないのかもしれません。

(私が米国人の友人達にこの映画のことを説明しようとしたときは、冗談だと思われてしまい、実際にビデオを見せるまでこうした表現があることを本気にしてくれませんでした。幸い見た人は皆それなりに楽しんでくれましたが、元々日本に興味がある人が多かったので、一般の観客がどういう反応を示すかはわかりません)

香港での「ぽんぽこ」

1995年1月28日〜3月2日、「百変狸猫(バイビアンリマオ)」のタイトルで劇場公開されました。興行収入は430万香港ドル。

ぽんぽこ香港DVD
2003年1月にIVLによりDVDが発売されました。

NTSC、リジョンコード2
カタログ#:609022
2枚組
日本語(DD2.0)、広東語(DD5.1)音声
中国語、英語、日本語字幕
特典映像:絵コンテ(広東語DD5.1音声)、予告編、その他

この他EDKOによりVCDも発売されています





韓国での「ぽんぽこ」

「ポンポコ ノグリ デーチャッジョン(ぽんぽこ狸大作戦)」のタイトルで2005年4月28日から2館で公開されました。