2005年8月16日に北米でDVD発売予定。
2枚組
英語音声、日本語音声(ドルビーデジタル2.0サラウンド)、英語字幕
29.99ドル
特典映像:予告編、絵コンテ
キャスト(役名不明)
Jonathan Taylor Thomas (TVシリーズ、「ホームインプルーブメント」)
Clancy Brown (映画「スポンジボブ」)
J.K. Simmons (「スパイダーマン」、TVシリーズ「ロー&オーダー」)
Tress MacNeille (「キングダムハーツ」などの吹き替え)
Olivia D'Abo (「ターザンとジェーン」)
Maurice LaMarche (「インスペクターガジェット」)
2004年4月23−24日にLAで開催された高畑映画の上映会及びシンポジウム(高畑監督とジブリのスティーブン・アルパート氏も参加)において、「ぽんぽこ」のDVDが「となりの山田君」、「おもひでぽろぽろ」とともに発売されることが発表されました。
MPAAより「暴力、怖い映像、テーマ的要素」のためPG(保護者のガイダンスを推奨)のレート指定を受けています。
米国のアニメファンの間では、ぽんぽこの米国一般公開は大変難しいだろうと言われてきました。日本の民話や伝統文化に深く根差した作品であるから、というのも理由の一つですが(狸がなぜ変身するのか、という所から始めなければなりませんので)、最大の問題は何を隠そう「隠してない事」です。つまり、「風もないのにぶーらぶら」している狸のアレです。
米国は基本的にピューリタンのお国柄で、こういう事に大変厳しく、日本やヨーロッパでは全然OKな表現、たとえば女性の胸がチラリ、とかも地上波のTVでは駄目だったりします。(子供の目に触れないようになっていれば、えげつないヌードもOKなんですが。)特に子供に見せるものには性的な表現は一切含まれるべきではない、と考える親が多いようです。(タヌキのアレには実は性的な意味はない、とここで言っても始まりません。米国人にとって、こういうものは無条件に性的な表現であり、子供はそういった害毒から遠ざけられるべきなのです。そして残念なことに、「アニメーションは子供向け」という固定観念がまだまだ根強いのです)
映画評論家で宮崎アニメの大ファンでもあるロジャー・エバートは、「睾丸を巨大化して敵を押しつぶすというタヌキ達の秘密兵器が理由で、この映画はアメリカ市場では売れないだろう」と書いています。彼のコラムは全米のさまざまな新聞に掲載されるため、「タヌキが睾丸を巨大化して敵を押しつぶす漫画映画だって!?」と、一部の関心を呼んでしまいました。オーランド・センティネル紙の1995年6月30日付のコラムは:
もしそんなマンガ(ぽんぽこ)がこの国で公開されるようになったら、大部分の親は憤慨するだろうね。子供たちに性器を見せる事は心理的トラウマとか何とかを与える、なんて言うグループも多いだろうし、趣味が悪い、と言ってこの映画に反対する人もいるだろう。でも、アジアの子供たちはこのようなものをいつも見ているし、日本人が変態や性犯罪者を育てているようには思えないけどなあ。質問:
もしあなたが親だったら、子供にこの映画を見せるかい?こういうものは子供にとって良くないと思う? |
と(皮肉まじりで)書いています。これに対し、かなりの反響があったようで、1995年7月7日付のコラムでは「ショックを受け、怒りに燃えた多くの親から電話があった」としています。そうした反応の中には:
- 自分の子供にはそんな映画は見せないわ。ぞっとする!私も見ないわ。私は16歳よ!
- 子供をこの映画には連れて行かないわ。小さい子供はこのような事に曝されるべきではないと思うの。それに(子供からの)恥ずかしい質問にも答えたくないしね。
- この映画はパワーレンジャー(日本の東映戦隊シリーズを編集した番組)とたいして変わらないように思える。そして、たとえ子供が活動過多のニンジャタイプの精神異常者になろうとも、親はそういったものを子供に見せている。ハリウッドはこういった映画で子供たちの精神を破壊している。このアナグマの映画も同じだ。
というものもありました。ただ、このコラムは正確さや公平さよりも面白さを重視しているように思われるので、おそらくわざとセンセーショナルなコメントを選んでいるのでしょう。もっと冷静な反応をした親もいたと思います。(そういう人はえてして新聞社に電話や投書などしないものですが)
もちろん、このコメントを寄せた人達は(そしておそらくこのコラムニストも)「ぽんぽこ」を見たことは一度もありません。「タヌキの秘密兵器」のインパクトがありすぎて、それだけでこの映画が「ぞっとする」なんて切り捨てられてしまうのは大変残念です。実際に見てもらえば、また違う感想も出るとは思いますが、そのためにはまず映画のチケットやビデオを買ってもらわなければなりません。そして現在の米国ではそれは大変難しいのではないかと思います。
まあ、日本人にとってタヌキと大きな「玉」は関連が深いので、映画に出てきた表現も割とすんなり受け入れられるのですが、そういった予備知識のない米国人には、なぜあれが巨大化するのかがぜんぜんわからないのではないでしょうか。であれば、「不必要な性的表現」とあれを受け取ってしまうのも仕方がないのかもしれません。
(私が米国人の友人達にこの映画のことを説明しようとしたときは、冗談だと思われてしまい、実際にビデオを見せるまでこうした表現があることを本気にしてくれませんでした。幸い見た人は皆それなりに楽しんでくれましたが、元々日本に興味がある人が多かったので、一般の観客がどういう反応を示すかはわかりません)