ジ・アート・オブ・アメリカナイズド・ジブリ・パート2 04/06/02改訂
 

前回「アメリカナイズド」なジブリのアートについて書いてみましたが、真打ちを忘れていました。

右の絵はかの悪名高い「ナウシカ」の短縮英語版"Warriors of the Wind(風の戦士たち)"のビデオカバーです(クリックすると拡大バージョンが見られます)。この英語版は配給元のNew World Videoが勝手に20分ほどカットし、ストーリーやセリフも改ざんして元の映画とは似ても似つかぬものになってしまいました。ジブリもこの英語版については「忘れて欲しい」と言っています。

もはや米国のアニメファンの間では伝説と化している(?) "Warriors of the Wind"ですが、カバー絵も中身にたがわぬひどさです。

配給元は「ナウシカ」を当時流行のアクションアドベンチャーSF(もどき)映画にしたかったらしく、「スターウォーズ」やら「デューン砂の惑星」やらのイメージがごっちゃになっています(風の谷には「巨神兵乗りのイニシエーション」とかあったんでしょうか?)

上部に書いてあるあおり文句は"A Band of Young Warriors on the Wings of Their Greatest Challenge!"(「若き戦士達の一団が最も困難な挑戦に飛ぶ!)というもので、どうやらこのカバーに見える5人(?)がその「若き戦士達」らしいです。真ん中で銃を振り上げているのはアスベルとしても、その横の人間サイズの巨神兵とガイコツ男(?)は誰なんでしょう?まさかユパ?(若いのか?)バックに飛んでいるペガサスは何なんでしょう?と、頭の中は?ばかりです。

哀れナウシカ(この映画ではザンドラ姫という名前ですが)は後方に押しやられ、脇役の扱いです。 大体この姿勢でメーヴェにはのれないでしょう。

このカバー絵をまに受けてビデオを買った人はどう思ったでしょうか。ペガサスが出てこなくてがっかりした人もいたかもしれません。 JAROに訴えられても文句は言えません。(米国にはJAROはないですが)

  

イギリス版ナウシカ

こちらはイギリスでVestron Video Internationalにより発売されたバージョンのビデオカバーです(クリックすると拡大版が見られます)。こちらは比較的 (あくまで比較的ですが)まともにみえます。少なくともこっちのバージョンのアーティストは映画を一度は見ているようです。 (なぜ腐海の中にメカが勢揃いしているかは置いといて)

「ナウシカ」が日本で公開されたとき、高荷義之氏のイラストによるポスターが作られましたが、ちょっとそれにも似ています。リアル版ナウシカ、と言った感じでしょうか。メカや王蟲もよく描けていると思います。

カバーの下部には「今より1000年後…未来への唯一の希望は一人のプリンセスにあった」というあおり文句が書いてあります。

 

ナウシカフランスビデオフランス版ナウシカ

フランスではLe vaisseau fantome(幽霊船)というタイトルで1987年にVIP InternationalによりWarriorsのフランス語吹き替え版がリリースされました。

ビデオカバーはイギリス版をほぼそのまま持ってきているようですが、なぜ幽霊船というタイトルなのかは謎です。もしかして王蟲のことなんでしょうか?確かに腐海の中を飛ぶ船は幽霊船に見えなくはないですが、このタイトルを見た人はいったいこれはどういう話だと思ったんでしょうか。

ドイツ版ナウシカ

ドイツではWarriorsのドイツ語吹き替え版がUFAによってリリースされました(リリース時期は不明)。

タイトルはSternenkrieger(星の戦士たち)といういかにもなものになっています。それにあわせてなのか、イギリス版のイラストを切り張りして背景を星空(?)にしているようです。

下部に書いてあるあおり文句はイギリス版とほぼ同じですが、プリンセスは地球の守護者(!)だそうです。

なんにせよ、フランス語版とドイツ語版がアメリカ版のイラストを使用しなかったのがせめてもの慰めです。

 


 

過去の雑文

ラピュタ関連

もののけ関連

「ごらん、あれがラピュタの星だ」99/4/29

「つけるべきかつけざるべきか、それが問題だ」 99/5/10
もののけ姫って残酷?99/10/28

トトロ関連

魔女宅関連

トトロ・アルターナティヴ 99/7/22

「コーヒーはいかが?」99/5/4

その他

 

ジ・アート・オブ・アメリカナイズド・ジブリ 99/6/7
ハイジランドへいらっしゃい 99/6/27
コスプレは楽し 99/7/13
アンジーのセル画 99/12/26
「ジブリでハロウィーン」00/11/21