ジ・アート・オブ・アメリカナイズド・ジブリ 6/7

 

Totoro video coverジブリアニメが米国公開される際に、ビデオカバーやポスターなどの絵柄がアメリカナイズされてしまうのでは、と心配するファンの方もいるようですが、これまでの実績(?)を見る限りでは、その心配もむべなるかな、という気がします。

右の絵はFOX Videoから現在発売されている「となりのトトロ」の英語版のビデオカバーです。実際に見るともうちょっと色がどぎつい気がします。大トトロはそれなりによくかけていると思いますが、その他のキャラクターはやっぱりちょっとアメリカナイズ… 日本のビデオカバーに比べると、やっぱり「大人が考えた”子供向け”ビデオのカバー」という感じがします。

米国のアニメファンの中にもこの絵を嫌っている人も多いのですが(「この映画の素晴らしさが全然表現できてないじゃないか!」と彼らは言います)、アメリカ人アーティストが描いた絵としては、まあ頑張ったほうじゃないかと思います。(でもどうして昼間なのにサツキはパジャマを着てるんでしょう?^^;)

実は、ディズニーのアニメビデオも、ビデオのカバーはディズニーアニメーターが描いているわけではありません。こういったアートを担当するグラフィックデザインの会社が新たにカバー用の絵を描き起こす事が多いので、アニメの中のキャラクターとは似ていない絵になってしまったりします。

ディズニーが発売した「魔女の宅急便」の英語版ビデオのカバーもこういった会社が担当しました。担当者がかなり努力したかいがあって(担当者から「キャラクター設定集を持っていませんか?」とメールを受けた事があります)、結構キャラクターの顔は似ていると思います。全体のデザインがやっぱり「子供向け」と言う感じになってしまっているとは思いますが。

「魔女の宅急便」は米国の芸能情報誌「エンターテイメント・ウィークリー」に1998年度のベストビデオ(アニメーション、と言うだけでなく、すべてのビデオの中でNo.1)に選ばれましたが、その時、ビデオ評と一緒に掲載されたのが左のCGです。何とこれが1ページ全部を使って掲載されたのです。(実際に見るとすごい迫力です。)

なぜ映画の中のシーンや、せめてビデオの表紙を使わなかったのかは謎です。誰がこの絵を描いたのかもわかっていません。この絵を見たら、何も知らない人は魔女宅が「トイストーリー」のような話かと思ってしまうかもしれません。(^^;

こんな絵に1ページも使うくらいなら、ストーリ−紹介や映画のシーンの絵をもっと使うなどして、魔女宅を知らない人にもっと興味を持ってもらえるような構成にして欲しかった、と言うのが正直な感想でした。

さて、「もののけ姫」はどうなるでしょうか?「もののけ姫」を米国で配給するミラマックスという会社はハリウッドの中では「趣味がいい」会社として知られているので、結構いいポスターを作ってくれるのでは、と密かに期待しています。キャラクターをみせずに、森の絵だけ、というデザインもあるのでは、と思っています。