Howl's Moving Castle〜ハウルの動く城〜 |
米国以外の国での公開に関してはこちら ハウル関連記事集−ニュース、批評など
米国とカナダではディズニー(Buena Vista)により公開されます。ディズニーが所有するロサンゼルスのEl Capitan劇場で6月9日公開。6月10日はNY、LA、サンフランシスコで36スクリーンでの限定公開、その後17日に全米60都市で公開。 なお、英語吹き替え版とともに英語字幕版も公開されていますが、劇場数も少なく、上映館でも一週間だけ最終回のみの上映など、かなり限られた規模での公開となっています。 2005年6月6日にニューヨーク近代美術館(MoMA)でおこなわれた「ハウル」の北米プレミア上映会には宮崎監督も出席しました。 6月9日にハリウッドのEl Capitan劇場で行われる「ハウル」のLAプレミアにでは映画上映前にQ&Aセッションが行われました。参加者は英語版監督のピート・ドクターとリック・デンプシー、脚本のヒューイット夫妻、プロデューサーのネッド・ロット、そして老ソフィー役のジーン・シモンズ、アニメーション評論家のチャールズ・ソロモン。International Animated Film Societyのブログで、このイベントのレポートと写真が見られます。(6月10日のエントリー) また、バークレー大学付属美術館ではジブリ映画の上映が行われ、その一環として「ハウル」も6月9日に上映されました。シアトル国際映画祭でも6月10日に上映。6月16日にハワイのマウイ映画祭でも上映され、観客投票により最優秀映画賞を受賞しました。
吹き替え版 英語版は、「モンスターズ・インク」を監督したピクサーのピート・ドクターが監督しています。「千と千尋」の時は、同じくピクサーのジョン・ラセター(宮崎監督の長年の友人でもある)がプロデュースしましたが、今回はラセターが新作の製作で忙しいため、ドクターが担当することになったとのこと。 英語版では冒頭や途中で隣国の王子が誘拐されたというセリフがあったり、ソフィーがカルシファーを城から出す理由を説明したり、とわかりやすくしようとしている部分もあるようです。LA TIMESによると、英語版の脚本を担当したヒューイット夫妻は映画の中で戦争が起こった理由を説明するために三ヶ所で説明を付け加えることを提案したが、ジブリは一ヶ所だけを承認したとのこと。 英語吹き替え版、英語字幕版は日本で2005年11月に発売予定のDVDに収録されています。
キャスト 英語版ではソフィーは老若二人の声優によって演じられています。
ハウル役のクリスチャン・ベールはSciFi Wireでのインタビューで「千と千尋」がとても気にいったので「もし声優をやることがあったらこういう映画に出たい」とエージェントに言った、と語っています。 IGNで見られるメイキング映像(Featurette)では、声優たちがインタビューされていますが、それによるとブライス・ダナーは宮崎監督の大ファンとのこと。若ソフィー役のエミリー・モーティマーは、「脚本を読んだときはどんな話か想像するのも難しかったが、映像を見たらその世界に入り込んでしまう、と語っています。またジーン・シモンズは「まったくマジカルな映画だ」と言っています。 2005年6月12日付UPIの記事で、老ソフィー役のジーン・シモンズはアフレコの経験を「とても素晴らしかった」「まったく新しいことを学ぶ機会だった」と述べています。日本語の口の動きにセリフ言うペースをあわせなければならなかったのが面白い経験だったとのこと。シモンズによれば、日本語版のテープが突然送られてきて、英語版に出演してくれないかという話が来たそうです。
予告編・クリップ
米国版予告編は(多分)以下のような内容になっています。
レーティング MPAAより、「怖い映像と少し乱暴な言葉のために」PGレート(子供には向かないところがあるかもしれないので、保護者のガイダンスを推奨)を受けています。
批評 RottenTomateでは、雑誌・新聞などで映画評論家がその映画にいい評価を与えれば「トマト」、悪い評価であれば「腐ったトマト」と分類していますが、2005年6月16日現在74の批評のうち86%にあたる64がよい評価で、10点満点中平均7.6点となっています。特に有名な映画評論家の批評ばかり集めた「Cream of the Crop」では86%の評論家がよい評価を与え、10点満点中平均7.4点となっています。 Metacriticでは映画評論家の批評を点数化して平均していますが、2005年6月16日現在、34人の評論家から100点満点中平均で82点を得ています。また、観客投票では18人からの投票で10点満点中平均8.3点を得ています。 批評の訳などは「ハウル関連記事ページ」に。
広告宣伝 NY TIMES紙に掲載された広告。 アジアンテレビジョンネットワークやアダルトスイム(大人向けアニメを放映している局)で「ハウル」のTVCMが放映されました。
興行成績
VIZより「ジ・アート」本が7月に、フィルムコミック(1〜4巻)が8月に、絵本が10月に発売予定。サントラ盤は発売予定なし。「ジ・アート」本には英語版の脚本が収録されています。 ディズニーによると、「ハウル」のDVDは北米で2006年春に発売予定。 「ハウル」は9月1日からイタリアのベネチアで開催される第61回ベネチア国際映画際コンペ部門に出品され、スタジオジブリが「卓越した技術的貢献」に対して与えられるオゼッラ賞(技術貢献賞)を受賞しました。 上映は9月5日17時からパラガリレオ劇場(1,300席)にて、日本語音声イタリア語字幕版で行われました(映画祭のスケジュール)。スクリーンの下にある電光掲示板に、英語字幕も出ていたとのことです。 Miyazaki Mailing Listでの報告によると、海賊版防止のための録画・録音機器チェックが厳しく、劇場入り口には長い列が出来て、入場が上映に間に合わなかった人達もいました。 劇場の近辺には城のモデルが置かれ、巨大な看板も掲げられていました。また映画紹介のチラシも配られていたようです。上映前には、劇場の外の巨大スクリーンにインタビューに答える鈴木プロデューサーの映像も映し出されました(レポートと写真はMiyazaki MLのMario Solinaによるもの)。 観客は立ち上がって何分もの間拍手し続け、一旦やんだもののその後鈴木プロデューサーが立ち上がって観客にこたえると再び拍手が続きました。クレジットに鈴木氏の名前が出ると拍手はさらに大きくなり、最後に宮崎監督の名前がスクリーンに写ると、大きな歓声がわきおこったということです。 ベネチア映画祭でのリーフレットには簡単なストーリー紹介と宮崎監督の略歴、日本でも既に公表されているハウルの写真と「老人のためのアニメーションはありえるだろうか?ハウルの動く城はその問いに答えようとする試みである」という宮崎監督のコメントが英語とイタリア語で紹介されています。(PDFファイルです) なお、ハウルの世界公開に関してはWild
Bunchという会社が交渉の窓口になっているようです。 「ハウル」の映画化についてジブリがジョーンズと交渉中という情報が漏れ聞こえてきたのは2000年の2月。その後2001年8月にジョーンズの公式サイトで映画化が正式に発表になったわけですが、ジョーンズのエージェントによると、ジブリがコンタクトしてくる前からジョーンズはジブリの作品をよく知っていたそうで、少なくともラピュタは(多分1990年ごろに英国でTV放映された際に)見ており*、他の作品も多分見ていただろうとの事です。ジョーンズは宮崎作品が好きで、それが映画化を宮崎監督に(当初は別の人が監督する事になっていたものの)まかせることに同意した理由だそうです。 *1990年に発表された「ハウル」の続編の原題はCastle in the Air、「ラピュタ」の英題はCastle in the Skyですので、もしかしたらジョーンズは自著のタイトルに似た映画を見てみようと思ったのかもしれません。 Gurdian紙に掲載されたインタビューでは、宮崎監督への尊敬の念とハウルの映画化に望むものについて語っています(リンク先に日本語訳があります)。 −ダイアナ・ウィン・ジョーンズは、2004年12月に英国ブリストルの劇場で彼女のために開かれた上映会で「ハウル」を鑑賞したとのこと。この上映会のために宮崎監督と「ハウル」のスタッフが現地へ行き、上映会後にはジョーンズとの夕食会が開かれました。 David Langfordのコラムによると、この上映会についてジョーンズは「通訳とそのほかいろんな人と一緒に、宮崎自身が映画のテープを持って来て、それからWhatershed劇場でプライベート上映会が開かれました(日本のメディアを避けるため、これらはすべて秘密にしておくことになっていたので、誰にも事前に話すことができなかったの。その後日本のメディアは私のところへ押し寄せてきた。)映画は息が止まるほど美しいアニメーションでとてもすばらしかった。若いお嬢さんたちがハウルと結婚したいと手紙を書いてくるのには慣れていたけど、映画のハウルはそれはもうかっこよくてセクシーで、私もそのお嬢さんたちに仲間入りしたみたい。上映会とブリストルの町を走り回った後で、私は宮崎氏と長いこと話したのだけど、どうやら私たちはソウルメイト(魂を同じくする者)だと思えてきたわ」と述べています。 TIMES紙によると、ジョーンズは「彼(宮崎)は天才だと思う。多くの日本人のように、彼は背が低いけど、その部屋にいた誰よりも二倍大きく見えました。大きなケーキを囲んで座って、私たちはとても素晴らしい会話をしました。かわいそうに通訳はケーキを一口も食べられなかったの。自分と同じように考える人に会えるのは、とても稀なことです」と述べています。
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