
2002年4月10日、Gaumont Buena Vista
InternationalによりLe Voyage de Chihiro(千尋の旅)というタイトルで約200スクリーン(もののけ姫の時は約85)で公開。
フランス語吹き替え版とフランス語字幕版両方が公開されました。フランス語版の録音監督はMathias
Kozlowski。
→はモンパルナスのビルの壁画に描かれた千尋。一番上にベルリン映画祭グランプリと書いてあります。(写真はFredericにいただきました。Merc、Frederic!)
- 千尋: Florine Orphelin (9歳の女の子)
- ハク: Donald
Reignoux (フランス語版エヴァンゲリオンのシンジ役)
- 湯婆婆: Anne
Ludovik
- 釜爺: Jean Claude Sachot
封切り日である4月10日のパリでの成績は入場者数11,930で3位でした。最終的な興行成績は720万ドルでした。
公開後の週ごとの興行成績は以下のとおり
週 |
|
順位
|
入場者数
|
入場者数累計
|
公開館数
|
1
|
フランス全土
|
4
|
311,037
|
311,037
|
257
|
パリ
|
3
|
103,340
|
103,340
|
34
|
2
|
フランス全土
|
4
|
216,694
|
527,731
|
292
|
パリ
|
?
|
72,368
|
175,708
|
34
|
3
|
フランス全土
|
7
|
160,261
|
687,992
|
299
|
パリ
|
?
|
55,753
|
231,461
|
36
|
4
|
フランス全土
|
9
|
132,116
|
820,108
|
272
|
パリ
|
10
|
36,801
|
268,262
|
30
|
5
|
フランス全土
|
8
|
140,499
|
961,835
|
305
|
パリ
|
7 |
42,108 |
310,370 |
29 |
6
|
フランス全土
|
9
|
70,128
|
1,031,963
|
291
|
パリ
|
6
|
27,027
|
337,397
|
28
|
7
|
フランス全土
|
9
|
55,144
|
1,097,107
|
296
|
パリ
|
7
|
19,451
|
356,848
|
32
|
8
|
フランス全土
|
10
|
36,233
|
1,123,340
|
282
|
パリ
|
9
|
12,402
|
369,250
|
22
|
9
|
フランス全土
|
−
|
42,441
|
1,165,781
|
228
|
パリ
|
−
|
10,307
|
379,557
|
?
|
10
|
フランス全土
|
−
|
18,106
|
1,183,887
|
223
|
パリ
|
−
|
6,004
|
385,561
|
?
|
11
|
フランス全土
|
−
|
32,767
|
1,216,654
|
200
|
パリ
|
−
|
7,928
|
393,489
|
|
12
|
フランス全土
|
−
|
10,637
|
1,227,291
|
122
|
パリ
|
−
|
3,216
|
396,705
|
|
13
|
フランス全土
|
−
|
11,140
|
1,238,431
|
105
|
パリ
|
−
|
3,208
|
399,913
|
|
データ
: Le film
Francais
PAL、リジョンコード2
Buena Vista Home Entertainment
2002年11月26日発売
ASIN: B00006L99L
26,99ユーロ
フランス語(DTS、DD5.1)、日本語(DD5.1)、英語(DD2.0)音声
フランス語&英語字幕
ワイドスクリーン
ディスクは本編一枚のみ
同時に「プレスティージエディション」二枚組DVDセットも発売されました。
予告編やジブリ映画の紹介、カードゲーム、シリアルナンバー入りセル画封入。
31.90ユーロ、ASIN:B000067UYO。
また、2003年6月にはコレクターズエディションDVDが発売されました(詳しいことは不明)。
Milan/Vivendi Universalより発売中
フランスのインターネット映画データベースサイト、Allocineにリストアップされている批評家及び観客の反応は、ほとんどが最高点の4つ星です。
マスコミ評は24個中21個が四つ星、2個が三つ星、1個が二つ星でした。同じくAllocineのデータによると、現在フランスで公開中の映画で総合で四つ星ランクなのが、「モンスターズ・インク」「ET特別編集版」「千尋の旅」「Parle
avec elle(彼女と話す)」の4つです。ちなみに、ベルリン映画祭での最有力候補と言われていた「8
Femmes(女8人)」は総合で三つ星でした。(以上の情報はおーたさんよりいただきました)
フランス有力紙に掲載された記事及び宮崎監督のインタビューの日本語訳はこちら
Allocineのマスコミ評の部分をおーたさんが訳してくださいました。尚、ご本人によれば「マジでこの翻訳は信用できません。なおLe
MondeやLiberationのように明確に新聞と分かっている場合は「紙」としましたが、その他は「誌」としています。どれが雑誌でどれが新聞かも知らないような無知な人間が訳していることをお察しください」とのことです。
おーたさん、どうもありがとうございました。m(__)m
☆☆☆☆
テレ・オブス・シネマ誌(オリビエ・ボナール)
扇動的でもなく(…)教訓っぽくもなく、この映画は夢のシュールリアリズム的
な性質をもっている。
☆☆☆☆
オブジェクティフ・シネマ誌(クローディア・コラオ)
いままでの映画から遠く離れ、「千尋の旅」は我々に近くてすべてから遠い「記
憶の映画」である。夢想と伝統の間で自問している沈黙と仮面の国日本から忘れ
さられた力と激しさを、子供の持つ不安の中に混ぜ合わせて表現している。
☆☆☆☆
ジュルバン誌(N.T.ビン)
幽霊と魔法使いたち、そして魔法に魅入られたものたちの国への旅。ベルリン国
際映画祭金熊賞、「もののけ姫」、「紅の豚」の作者による傑作。
☆☆☆☆
アデン誌(フィリップ・ピアッツォ)
「千尋の旅」は複雑であると同時に、映画はこうありたいというぐらいとても魅
惑的である。
☆☆☆☆
レクスプレス誌(エリック・リビオ)
何を書くべきか?傑作だ、卓越している、比類ない、驚くべきものだ、感激だ、
面食らった、、、、? 宮崎駿がついにフランスで公認されるために何を書けば
いいのか? …… しかし、「紅の豚」「となりのトトロ」「もののけ姫」へ相変
わらず多数の観客が来ているにも関わらず、宮崎はいまだに大成功を収めてはい
ない。これを変えなければいけない、さもなくば怒るしかない。
☆☆☆☆
フリュクチュア・ネット誌(ニコラ・マルタン)
宮崎ワールドとでもいうべきこの映画は一瞬のスキもなく我々を感動させてくれ
るが、ぎこちないメロドラマで盛り上げるのではなく、単純な筋書きと単純なイ
メージだが詩情と奇妙さで満ちているので、シーンを追いながら観客は何も見逃
すまいと座席に座り続けるしかなく、子供の目で映画を見る滅多にない喜びを何
度も何度も反芻するのである。
☆☆☆☆
ユルビュッツ誌(ジャン=フィリップ・テッセ)
不滅の大傑作が持つ静かな自信に支えられて、魅惑と満ち足りた感覚を「千尋の
旅」は滴らせている。
☆☆☆☆
ムッシュー・シネマ誌(ジャン=クリストフ・デリアン)
これはただの子供向け映画ではなく、我々一人一人の眼を本当に楽しませ、ノス
タルジーを抜きにして我々の青年期について語っている。つまり、それはいかな
る理由でもしくじってはならない美しい通過儀礼の旅なのである。
☆☆☆☆
テレラマ誌(ジャン=クロード・ロワゾー)
良く出来たファンタジー、追いかけっこ、視覚的冒険が入り混じった「幻想の国
のアリス」。
☆☆☆☆
レ・ザンロキュプティブル誌(オリビエ・ペール)
「千尋の旅」は散文詩であり、叙事詩であり、哲学的物語であり、子供向けの単
純な修行物語よりはるかに野心的な作品であり、作者宮崎駿のユニークな才能が
確認できる。
☆☆☆☆
パリジャン(ベランゲール・アダ)
とても美しい冒険で、しかもまったく暴力的ではない。
☆☆☆☆
リベラシオン紙(ディディエ・ペロン)
宮崎作品の中に仕組まれた見せかけの素朴さという点で、「千尋の旅」は一連の
作品の中でも極まっている。夕暮れの沈黙の薄青紫のリボン、蘇った錬金術の特
別なひと時、プルーストの作品にあるような深み。何もないように見えるが、
ひっくり返して確かめてみる価値はある。
☆☆☆☆
レ・ゼコー誌(イサベル・ダネル)
……十歳から全ての年代が飛び込まなくてはいけない。映画で時おり体験できる、
子供の魂の再発見のためというよりは、彼女自身の幼少期の再発見のためであ
る。その味わいと香り、その不安と感嘆を。
☆☆☆☆
ル・モンド紙(サミュエル・ブリュモンフェルド)
「となりのトトロ」の監督、宮崎駿印の夢とロマンの鏡の中を通り抜けるとアニ
メーションは解明の芸術となる。
☆☆☆☆
ノバ・プラネット誌(アレックス・マッソン)
宮崎の意図するのはより良く生きるための暗いヒューマニズムを腑分けする
ことではなく、バランスをとるためにそれらを掴むことにある。似たような語り口だが
文体とモラルで失敗している民間伝承並みの「ロード・オブ・ザ・リング」や
「ハリー・ポッター」に本当にとって代われるのが「千尋の旅」なのである。
☆☆☆☆
シネ・リブル誌(フランソワ・ドワスネ)
ものの数分も経たないうちに宮崎映画のなかに没入してしまうことは請け負え
る。一秒々々が典型的なアニメーション映画ではなくて、ただただ素晴らしい冒
険を観ているのだとしか考えられなくなる。
☆☆☆☆
カイエ・ド・シネマ誌(セバスチャン・ベネディク)
宮崎の最新映画は彼のものの中で最も美しく、動かしがたい物語である。
☆☆☆☆
ポジティフ誌(エイトゥン・オネイユ)
神話と道徳性、映画的表現と色調を撹拌して挑発する宮崎は、全ての年代に向け
たおとぎ話、倫理、眼と聴覚と知性に向けた幻影を見せてくれる。
☆☆☆☆
プルミエール誌(ジェラール・ドゥローム)
……感嘆して驚く。この経験はすべての年代、文化、感性を満足させる。
☆☆☆☆
ストゥディオ誌(ミシェル・ルビコン)
これは子供たちへそして同様に大人たちにも真剣に訴えかけている映画である。
そして、何よりも輝いていて、衝撃的な美しさへの挑戦であり、驚くべきイメー
ジ・オペラなのである。
☆☆☆☆
ル・ポワン誌(オリヴィエ・ドゥ・ブリュン)
……形而上学的野心と高度な娯楽を結びつけるビジュアルな詩情の奇跡を宮崎は引
き渡してくれる。十歳の子供から一般の大人までを誘惑するしかないほどに、
うっとりするような緻密な仕事である。
☆☆☆
シネ・リブ誌(サンドラ・ブヌデッティ)
日本の神様たちの国への旅という形を借りた、子供の場所と現代社会についての
寓話。素晴らしいが、すこし長い。
☆☆☆
クロニカルト誌(ヴァンサン・モンタニャーナ)
宮崎は感情を美の祭壇の上に生贄として捧げ、ひとかけらの法悦の境地‐‐海の深
い青や様々な色の花の咲く野原‐‐と追従を許さない画面の豊かさ守り抜く。しか
し、「千尋」が作者の多様な才能を乗り越えることに部分的にしか成功しなかっ
たという事実は、なにかしらホッとさせるものがある。「完全主義者宮崎」を
もってしても、そうならざるを得なかったのだ。
☆☆
リュマニテ
もののけ姫のような魅惑的な歴史=環境映画でないと、宮崎の作品中で展開され
る発想はシュールリアリズムになっていくのだ。
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